2009年04月18日

「幼・小」一貫教育へ 10年度から東京・品川区方針

 東京都品川区教育委員会は、すべての幼稚園児、保育園児を対象に、集団生活のルールや、従来小学校で教えてきた簡単な読み書き、計算などを統一的に教育する方針を決めた。小学校入学前後の課程を一体にとらえた独自のカリキュラムを作成し、10年度から「幼・保→小」の一貫教育を進めたい考えだ。

 今回の方針は、小学校に入った児童が座って先生の話を聞けないといった「小1プロブレム(問題)」の対応策として考えられた。こうした本格的な一貫教育はほとんど例がなく、品川区は06年度に導入した「小中一貫教育」と合わせて効果的な教育を目指すとしている。
■「小1プロブレム」に対応

 授業中に勝手に歩き回る。教室を飛び出したまま戻ってこない。1人がトイレに立つとぞろぞろついていく。先生が大事な説明をしているのに、気にせずいつまでも話し続ける……。「小1プロブレム」を抱えた教室では、日々、こんな風景が繰り返されている。

 幼い児童にとって初めての小学校生活は戸惑い、落ち着かないものだが、90年代後半ごろから、混乱がずっと収まらないケースが多く報告されるようになった。教師への反抗などから高学年でも起きている「荒れ」や「学級崩壊」と異なり、小1プロブレムでは、子どもたちが最初から集団生活や学校のルールを全く理解できていない状況が指摘されている。「どう指導したらいいかわからない」と教師が低学年の担任になるのを拒むケースも出ているという。

 中央教育審議会(文科相の諮問機関)も05年の答申でこの問題にふれ、背景に家庭や地域の教育力低下があると指摘している。

 現場で広がっている対応策の一つが、幼稚園や保育園との連携の強化だ。ベネッセ次世代育成研究所による07年のアンケートでは、調査対象の国公立幼稚園の8割以上で、子どもがなじめるよう、地域の小学校と交流活動をしていた。

 ただし、こうした活動は個々に進めていることが多く、成果は広く共有されにくかった。こうした中、品川区は今回、自治体全体で制度として取り組むことを決めた。

 区教委によると、区立・私立の幼稚園・保育園の園長、区立小学校長、学識経験者らを集めた「幼児教育推進委員会」(12人)を5月に設置。小学校入学前の10月ごろから小1の6月ごろまでを対象にした、独自の「幼児教育要領」を作成するという。

 小学校での集団生活に向き合えるよう、入学前のカリキュラムにドッジボールやリレー、合奏などを取り入れ、友だちと力を合わせてやり遂げる満足感を体験させることなどを検討している。

 学習については、小学校入学までにひらがなの読み書き、1ケタの足し算、引き算程度ができるようにすることを想定している。小学校の教員が幼稚園や保育園に出向いて教えるほか、幼稚園教諭や保育士に認定制度を設けて教育を担ってもらったりする仕組みを検討するという。

 幼稚園の教育内容については、文部科学省が「幼稚園教育要領」を定めているが、遊びの中で学びに興味をもたせることなどに主眼が置かれ、具体的な学習内容は記されていない。品川区教委は「英才教育ではなく、あくまで小学校の教育との円滑な接続を目的にしている」「教える順番を入れ替えたり、一体化したりすることを考えており、現行の制度に反するものではない」としている。

 区教委は、区内のすべての幼稚園(区立9、私立20)、保育園(区立40、私立10)、区立小学校(38)のほか、11カ所ある認証保育所にも参加を呼びかける方針だ。家で育児をしている家庭には、定期的に区の児童施設や保育園に子どもを連れてきてもらい、無償で同様の教育を提供する考えだという。

 若月秀夫・区教育長は「学習面まで含めて地域一体で垣根をなくし、幼児期に義務教育の基礎を培いたい」としている。(小石勝朗)
posted by ring at 10:10| Comment(0) |  ├小中一貫教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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